歩行器を使いたいと注文したのに杖で満足してしまった。4点杖は扱いが楽で動作の助けになっている。何となく背筋が伸びたように思う。
「杖があると腰が伸びる」という。それでも何かのはずみに自分を励ます言葉をつぶやく「痛い」「頑張らんといけない」「動かないと動けなくなる」そんな独り言のつぶやき。
老親の家にいると耳にする。
80歳老化が進み体の変形が目立つ
身体が変形し腰が曲がり、膝が開きこわばっている感じがするので、リハビリで筋力をつけてみたらどうだろうと考えた。デイケアのリハビリが可能かどうかケアマネージャーに相談してみたのだが、近所にはリハビリに重点を置くデイケアがなくて訪問リハビリを勧められた。それを母に勧めたのだが、母には何を目指しているのか見えなかったらしい。リハビリ?筋力?今歩けているのに?
父が余計な事を言う
介護保険でリハビリをすると説明しているのに、父が高いお金がかかるだろう。など言ったものだから、母のやる気が失せてしまった。まずは父に説明、実際は怒った。自分は将棋クラブに通いそこでお金を使っているだろう。それなのに介護保険という利用金額が制限されている費用をお金がかかるなど言わないで頂きたい。父は何となく理解したらしく、だまった。
母の不安
母が不安に思ったことは、知らない人が家に来ること。
それは数回訪問してもらえば顔見知りの知り合いになるだろう。この先、他人を頼れないと一人暮らしを続けることはできない。と言い切ってみた。
他には家のどこで運動するのだ。と言う。それを聞いて、飛んだり跳ねたりするつもりかも知れないがそんなことはできないでしょう。今の状態では、せいぜい椅子に座って、ゆがんだ体幹の補正と、正しい位置での筋肉トレーニングの方法を指導、他には筋肉の緊張を取って痛みを軽減するようなストレッチを教えてくれるレベルで、それから先、傷みが取れたらもっと積極的な体操指導になるだろう。そのレベルのリハビリなら自室の部屋でできるでしょう。とにかく500メートルぐらいは痛みがなく歩けることを目指したらと話すと、それならやってみると言う。なんでもやってみないとわからないと言う母。
母にも介護保険の利用制限枠の範囲内で(母の場合の個人利用負担額は5,003円)でそれ以上のケアは受けたくても受けられない。支払いを気にせずに自分のために使ってみたら。そんな説明した。改めて介護保険個人負担額の上限が理解できて、母も納得でき訪問リハビリを始めた。
やはり他人が介入すると顔が明るくなる
普段は父と二人、互いが分けのわからないまま、相談して回答している。行きつく先は現実的なお金の話しにして、それで持論を納得させようとするのだ。係る費用が理解できるとやってみようかと思うようだ。それもとても現実的な解決方法だといえる。要するにお得を実感すると初めて見ようかと思えるのだろう。
二回目リハビリを受けた母と会う。顔色が明るくなっている。父が若い男性の理学療法師さんが訪問リハビリしてくれているからだ。とからかう。母もまんざらではなさそう。体をほぐしてもらうと楽になるのだろう。
リフォームと介護保険利用は先取計画が望ましい
リフォームもリハビリも利用にあたっては、老親が自分で得た情報ではない。十分に理解した上での介護保険利用でもない。残念なことにどれも80歳を超えた両親が理解するには難しい制度だと思う。やはり家族が介入して利用を薦めるタイミングを計ることも重要だと感じた。
老親の住宅をリフォームしたのは75歳を過ぎてからだが、今考えるとその年齢で居住空間を縮小したことは老化に順応する上で正解だったと思う。それと同じように全く動けない体を動かそうとするよりも気持ちだけでも前向きな今、リハビリすることで機能低下が最低限に保たれたなら、母の望むような独立した暮らしを継続して支援できるのではないかと期待している。
老親から学んだ自分達の老後暮らしのポイント
75歳を目安に交通の便の良い地域に住むことを考えよう。住宅は広すぎないこと。バリアフリーの居住先を考えてみよう。自宅にこだわるよりも老後暮らしを独立していける地域や環境を優先に賃貸や住み替えを検討すること。
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